道路交通法等の改正

飲酒運転や無免許運転などの悪質・危険な運転に対する罰則の強化、運転免許証の有効期間・更新期間の延長、高齢者マークの表示義務年齢の拡大などが盛り込まれた改正道路交通法等が平成14年6月1日から施行されました。


悪質・危険な運転者に対する罰則の強化
 〜飲酒運転の厳罰化〜



酒気帯び運転の基準が変更

改 正 前 改 正 後
0.25mg以上 0.15mg以上

呼気1リットルにつきのアルコール濃度


わずかな飲酒でも「酒気帯び運転」となります。飲んだら運転ダメダメ


罰則強化の一例

主な罰則 改 正 前(懲役・罰金) 改 正 後(懲役・罰金)
ひき逃げ 3年以下 又は 20万円以下 5年以下 又は 50万円以下
酒酔い運転 2年以下 又は 10万円以下 3年以下 又は 50万円以下
酒気帯び運転 3月以下 又は  5万円以下 1年以下 又は 30万円以下
無免許運転 6月以下 又は 10万円以下 1年以下 又は 30万円以下
共同危険行為 6月以下 又は 10万円以下 2年以下 又は 50万円以下
過労運転(麻薬等) 2年以下 又は 10万円以下 3年以下 又は 50万円以下
過労運転(その他) 6月以下 又は 10万円以下 1年以下 又は 30万円以下
不正による免許証の交付 1年以下 又は 10万円以下 1年以下 又は 30万円以下



基 礎 点 数 及 び 付 加 点 数
違 反 行 為 等 の 種 別 改正前改正後
酒酔い運転、麻薬等運転、共同危険行為等 禁止違反
15点 25点
無免許運転
酒気帯び(0.25mg/L以上) 13点23点
酒気帯び(0.25mg/L未満) -20点
一般 12点19点
大型自動車等無資格、仮免許運転、
速度超過(50Km以上)
酒気帯び(0.25mg/L以上) 13点19点
酒気帯び(0.25mg/L未満) -13点
酒気帯び加重対象違反行為
酒気帯び(0.25mg/L以上) 7〜9点14〜16点
酒気帯び(0.25mg/L未満) -7〜9点
酒気帯び運転
酒気帯び(0.25mg/L以上) 6点13点
酒気帯び(0.25mg/L未満) -6点
過労運転等
6点13点
死傷事故の場合における措置義務違反(ひき逃げ)
10点23点
故意による死亡事故、傷害事故、建造物損壊
35点45点
危険運転による致死事故、致傷事故
-45点
死亡事故
専らの責任 13点20点
専ら以外の責任 9点13点
治療期間が3月以上の交通事故
又は後遺障害を伴う交通事故
専らの責任 (9点)13点
専ら以外の責任 (6点)9点


運転免許証の欠格期間が最長5年まで延長

これまで、運転免許証の取り消しを受けた場合、1〜3年の欠格期間が設けられていましたが、酒酔い運転など、きわめて悪質・危険な運転をして死亡事故を起こした運転者に対して、1回目の取り消しであっても最長5年の欠格期間が指定できるようになりました。


危険運転致死傷罪が適用される交通事故を起こした場合も同様です。


危険運転致死傷罪とは

平成13年12月25日施行の刑法改正により新設された罪で、飲酒・薬物運転や危険なスピードで信号無視をするなど、悪質な運転で死亡事故や人身事故を起こした場合、業務上過失致死傷ではなく、危険運転致死傷罪が適用され、死亡の場合「1年以上の有期懲役、15年以下の懲役」、傷害の場合「10年以下の懲役」が科せられます。


運転免許証の更新と負担の軽減


運転免許証の更新期間拡大

これまで、運転免許証の更新期間は「誕生日の1か月前から誕生日まで」でしたが、今回の改正により、「誕生日の1か月前から誕生日の1か月後まで」の2か月間に延長されました。また、旧免許証の有効期間は、誕生日まで有効と記載されていますが、免許証の記載事項の変更等を行うことなく、有効期間の末日が1か月延長されることとなりました。
なお、適用は更新期間の初日が平成14年6月1日以降(つまり、その方の誕生日が7月1日以降であることを意味します。)に免許証の更新を受けられる方からとなります。



運転免許証の有効期間延長

一般運転者(過去5年間の違反歴が3点以下の軽微な違反が1回で、人身事故を起こしていない方)に係る運転免許証の有効期間が、従来の3年から原則として5年に延長されました。
これまでは、優良運転者のみ有効期間5年となっていましたが、初心者・一定の違反者(過去5年間に軽微な交通違反を1回のみの者を除く)及び高齢者の方を除き、優良運転者に加え一般運転者の有効期間が原則として5年となりました。
これらの適用は、更新期間の初日が平成14年6月1日以降(つまり、その方の誕生日が7月1日以降であることを意味します。)に免許証の更新を受けられる方からとなります。

運転者区分 基          準 更新時講習 運転免許証
運転免許証の
継続期間
違  反  歴  等 区 分時 間 有効期間
優良運転者 5年以上
基準日前の5年間、無違反で重
大違反唆し等及び道路外致死傷
をしたことがない方
優 良30分
原 則 5年

71歳の方

4年


72歳以上の方

3年

 
一般運転者
基準日前の5年間、軽微な違反
行為(3点以下)が1回のみで
重大違反唆し等及び道路外致死
傷をしたことがない方
一 般60分
 
 
違反運転者等 5年以上
若しくは
5年未満
基準日前の5年間若しくは免許
取得から基準日までに、違反行
為2回若しくは4点以上の違反
行為又は重大違反唆し等若しく
は道路外致死傷をしたことがあ
る方
違 反120分
3年
初回更新者5年未満
免許取得時から基準日までに、
微妙な違反行為(3点以下)が1
回以下で重大違反唆し等および
道路外致死傷をしたことがない
初 回120分

注1)この表は運転免許証の更新期間の初日が6月1日(誕生日が7月1日)以降の方について適用されます。
注2)基準日とは、更新期間内の誕生日の40日前の日をいいます。
注3)年齢は、更新期間内の誕生日における年齢です。


更新手続き窓口の一部拡大

免許証の更新を受けようとする方のうち、優良運転者(一定の条件が付された方等を除く)については、更新期間の前半の1か月間(誕生日まで)に更新の申請をする場合には、住所地を管轄する公安委員会(以下「住所地公安委員会」という。)以外の公安委員会を経由して更新申請を行うことができるようになりました。また、併せて、その公安委員会の行う更新時講習又は高齢者講習を受けることが可能となりました。
なお、住所地公安委員会以外を経由して手続き行うには、住所地都道府県の更新手数料額の証紙や免許用写真のほか、経由手数料等が必要となります。


高齢運転者の保護等に関する規定の改正

高齢者講習の受講対象者の年齢引下げ等

免許証の更新を受けようとする方で、更新期間が満了する日における年齢が70歳以上の方は、更新期間が満了する日前3か月以内に高齢者講習を受講、「高齢者講習終了証明書」を受け免許証の更新手続きを行うことになります。
適用は、更新期間が満了する日等が平成14年6月1日から起算して3か月を経過した日以降(具体的には、その方の誕生日が7月31日以降であることを意味します。)である免許証の更新を受けようとする方で、更新期間が満了する日における年齢が70歳以上の方からとなります。
改正前は、更新期間満了日における年齢が75歳以上の方が対象となっており、更新期間が満了する日前2か月以内に高齢者講習を受けることになっていました。
また、更新申請前6か月以内に、公安委員会が行う一定の任意講習(チャレンジ講習*1)や高齢者講習と同等の効果があるとの認定を受けた運転免許取得者教育を受けた方は、高齢者講習を受ける必要はないこととなります。

*1)このチャレンジ講習とは、運転技能を確認するためのもので、壮年層であれば多くの方ができる程度の反応を調べる実技テストです。


高齢運転者標識の表示対象者の年齢引き下げ

高齢者マーク
表示の努力義務対象年齢
75歳 以上 70歳 以上


身体障害者標識の導入

肢体不自由であることを理由に免許に条件を付されている運転者は、普通自動車を運転する場合に、その肢体不自由が普通自動車の運転に影響を及ぼすおそれのあるときは、身体障害者標識を表示して普通自動車を運転するように努めなければならないことになりました。
この場合、他の自動車の運転者は、当該身体障害者標識を表示している普通自動車に対する幅寄せや割込が禁止されます。

以上、平成14年6月1日施行の道路交通法等改正に伴う主な要点を掲載しました。
詳細事項又はその他改正事項をお調べの方は、所轄の警察署にお問い合わせください。